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ビジネスロイヤーのひとりごと

おいしいもののまわり 土井先生の美意識


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土井先生のエッセイ。
和食のおいしさは雑味がないこと、即ち清潔で、仕事が丁寧なこと、ということが突き詰められている。

1対1対4と2対2対8のつゆの味は違う。なぜなら過熱する際に蒸発する水分量が違うから。

焼き海苔を表あわせで炙るのは、裏面はつるりとした表側より表面積が多いから、熱が均一に伝わるため。

化学、歴史、民俗学、地理、気象学、植物学、あらゆる知性をおいしい料理を作ることに総動員する姿勢、美意識。好きなことを誇りを以てするということはこういうことなのだと思う。

箸が使えるようになるまで、皿がきちんと洗えるようになるまで、すべてに方法論を構築する。

仕事だからできることだと思う。仕事とはそういうものだ。仕事が好きなら自然とそうなる。楽しくて仕方がないのだ。

「お料理をする」と、先生が敢えて口にするやわらかな女言葉の裏に、ここまでの丹念なプロ意識があることに改めて感動した今日の読書。