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ビジネスロイヤーのひとりごと

マイナス金利で物価が上がるのか

政策金利の引き下げを決定した委員たちはスーパーマーケットで買い物をしているだろうか。

物価指数とひとくちにいうけれど、指数を押し下げているのはテレビやパソコン、カメラなどのデジタル機器、携帯電話料金など。その他衣料品なども貢献している。

問題は生鮮食品等の生活必需品で、実はこれは結構上がっているのが生活実感で、スーパーマーケットのトレイやら包装類、運送コストがだだ下がりのはずなのに、全然転嫁されている感じがない。むしろ円安のせいで小麦やら飼料価格があがっているから、じわりじわり高くなっている。これからもなおさらそうだろう。それをマイナス金利の効果だ、というのはひどい話で単なる副産物に過ぎない。賃金上昇が伴わなければますます消費は冷え込んでしまうだろう。なんせ増税も控えてるし。

一方で日本は他の消費財に比べて食べ物が安すぎる。それは、構造的に食べ物を無理矢理安く供給するブラックな仕組みがデフレ期間を通じて固定化してしまったためだ。農業従事者(特に近年問題となっている海外研修生による近郊栽培)、コンビニやファーストフード、居酒屋の店員、食品加工等、最低賃金労働者が日本の食を支えている。食べ物の利益率は確かに低いものだけれど、ちょっと鈍感になりすぎてやないか。。
近年の気候変動、漁業不振、その他の環境要因で実は食べ物の製造コストは実態的にかなり上がっているのに、それをうまく転嫁する仕組みはできていない。

タクシーは原油安になっても値段は下がらないというのに。。

とりあえず景気浮揚を日銀の力技にまかせるのは誤りで、実体経済を細やかに分析して、まっとうなインフレターゲットを再設定すべきだし、あとはとりあえず端的に最低賃金を上げ、かつ飲食店や農業等、労働法制の不遵守が常態化している業界にメスをいれるべきだと思う。ささやかなことに見えるだろうけれど、適用人口は多い。どうも経済政策というと法制を切り離してしまうけれど、法の施行は常に経済効果を伴うものなのだ。